私の中心には母がいる。
母の目をみて育ってきた。
少し熟れたランドセルを背負いながら帰ってきた私に「おかえり」が返ってこない暗い部屋をみていた時期もあった。
部屋は荒れ果てて洗濯物はカゴから溢れていることもよくあった。
未だに治らない鬱病と共に生き続けている母を10年以上近くで見続けた。
少しずつ変わっていく母をただみることしかできなかった。
家には防犯カメラ、iPhoneにはGPS。
こんなにも近い存在の人なのに時々遠く感じることがある。
その度に母がいなくなることを考えて涙を流して何度も確認を繰り返している。
良いことも悪いこともきっと大半はこの人を
中心にしてまわっていた日常から訪れたもの。
母への複数の感情はまだ纏まりきらない。
けれども愛せなかった今まで以上に母を愛したい。
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